日本の一人当たりGDPの国際ランキングが過去30年間に、大きく低下してきたことの原因として「成果に基づいた報酬」が支払われる労働市場が成立しておらず、このため、労働の流動性が低いことが指摘されてきた。この問題の解決策を探るために本研究は、次の分析を行う。
1.労働者の権利を守りながら、労働の流動性を高める雇用法制の制度改革をどのように進むべきかを諸外国の先行例と比較しながら検討する。
2.最低賃金制の効果に関する各国における研究を比較し、日本での最低賃金制改革の可能性を検討する。本研究では、最低賃金制によって、仮に雇用が減らないとしても、高い最低賃金でのみ働く気がある人が雇用される一方、低賃金でも働きたいという人が労働市場に参入できないケースを分析する。
3.低賃金の外国人労働者の受け入れが、日本の低賃金労働者の労働移動にいかなる影響を与えるかも検討する。
都市のモビリティとアクセシビリティの研究は、都市計画・都市政策において重要な基盤を提供するものであり、これまでにも多くの研究蓄積がある。一方で近年は、移動や交通に関する価値観やライフスタイルが大きく変化し、コロナ禍を経た交通需要の激変、健康志向からのウォーキング需要の増加など、移動・交通を取り巻く環境は大きく変化した。本研究は、こうした状況を鑑み、人口減少と高齢化が進む北九州市を対象として、都市のモビリティとアクセシビリティを評価する方法について再検討するものである。モビリティの評価については、人流データ(メッシュ単位の集計ODデータ)と地域メッシュ統計を組み合わせることで、都市内で発生している移動の量及びその効率性を計測する。アクセシビリティの評価については、地理情報システムを使って、施設とその利用者の距離を中心に分析・評価する方法を検討する。