アジアー日本間の経済関係と現代的課題
日本とアジアとの結びつきやグローバル化など経済環境変化への対応に関する政策課題に焦点を当てて、その発生メカニズム・経済影響に関する学術研究を行うと共に、国内外の研究者と連携してアジアの共同発展に資するための政策研究を行う。研究テーマとしては、アジアと日本の間の人・物・資本等の移動からみた相互依存関係や国際情勢など近年発生した経済社会環境変化への対応策について学術研究と政策研究を推進していく。
グループ長 | 本間 正義 |
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メンバー | 柯 宜均 |
グエン・フン・トゥ・ハン |
ロシア・ウクライナ戦争に加え、中東ではイスラエル・パレスチナ問題が深刻化しており、地政学的リスクが高まる中、日本においても輸入割合の高い食料の安定確保が課題となっている。
国会では食料・農業・農村基本法の改正の中で食料安全保障が議論されている。本年度は昨年度に引き続き、日本の食料安全保障と九州の役割について研究する。昨年度は時間的予算的制約で十分な検討ができなかった食料安全保障指数の検討や諸外国における食料安全保障政策の検討を中心に研究を行う。諸外国としては、韓国、台湾に加え、食料生産資源の乏しいスイスやイスラエルに焦点を当てて調査する。
また、食料安全保障は国民の意識の問題でもあり、国民がどのような状態に不安や安心を感じるのか、意識調査を行い、その源泉をさぐる。その上で、九州農業が日本の食料安全保障に果たす役割について検討する。
電力価格の高騰に伴い、エアコンなどの避暑・避寒行動が抑制されることで、夏場および冬場の死亡率が高まることが近年の研究で明らかにされている。
このマイナス影響に対して、どのような対策が有効か(本当に価格ショックのマイナス影響の軽減に役立つのか)?本研究では、再生可能エネルギーの普及がもたらす軽減効果を定量的に分析する。具体的には、住宅用太陽光発電が設置され、家庭における電力の自給が可能となる場合、電力価格の高騰が健康に及ぼすマイナス影響を軽減できるかどうかを検証する。
本研究の成果は、気候変動影響下において再生可能エネルギーが生み出す潜在的な適応効果を示唆するエビデンスとして、気候変動適応策にも寄与する。
クリーンエネルギーへのアクセスが貧困緩和、経済成長、そして健康保全のための重要性が強調されているが 、世界で24億人がクリーンな調理設備にアクセスできていない。発展途上国で広く見られるエネルギー貧困は、伝統的なバイオマスの使用による室内空気汚染など、健康リスクを引き起こしている。
ベトナムに焦点を当てるこの研究では、電力アクセスの進展を考察し、2010年には25%の世帯が不十分な供給に直面している課題を明らかにする上、Vietnam Household Living Standard Surveys (VHLSS) のデータを用い、エネルギー貧困と健康との関連を検証する。
この研究は、特に発展途上国においてエネルギー貧困による健康への影響に対処するための緊急性を強調することを目的としている。