日本とアジア諸国が政策立案のために相互から学べる経験
本研究の代表者は、過去数年間に一連の台湾のスタートアップ・エコシステムに関する研究プロジェクトを実施してきた。とりわけ、スタートアップを支援するアクターの事例研究を積み重ねてきた。例えば、アクセラレータ(AppWorks、StarFab Accelerator、Epoch Foundation & Garage+)、大企業(Wistron)、大学・研究機関(工業技術研究院、台湾大学創創センター、交通大学産業アクセラレータ)、政府・公的機関(新竹科学園區、高雄市)に関する研究である。R7・R8年度プロジェクト(2年計画)では、これらの研究成果を踏まえ、台湾のスタートアップ・エコシステムの発展状況を体系的に分析することを目指す。1年目(R7年度)は、これまでの研究の延長線上で、手薄な部分を補強していく(例えば、資金提供者=VCやエンジェル投資家クラブの事例研究、など)。2年目(R8年度)は、これらの成果を踏まえて、エコシステム全体を俯瞰し、その全体的な発展状況を分析する予定である。
近年、ショート動画は急速に人気を集めるSNS(Social Networking Service)として注目されており、SNSのトレンドを牽引する存在と見なされている。中国では、TikTok(中国本土版の名称は抖音〈Douyin〉)をはじめとするショート動画SNSを活用し、観光ブームを巻き起こす事例が頻繁に見られる。多くの観光客が訪れることで、地域観光が大いに活性化している。一般の利用者に加え、中国各地の政府もショート動画SNSのトレンドを活用し、地域の観光振興に積極的に取り組んでいる。こうした取り組みは、世界的に見てもショート動画SNSを活用した地域観光振興の最前線を走っていると言える。一方で、日本はショート動画SNSを活用した観光誘客の面で、時代の流れに遅れをとっているのが現状である。
本研究プロジェクトでは、中国の事例を中心に、ショート動画SNSを活用した地域観光振興戦略を整理し、その背景、効果、手法、留意点を分析する。本研究の成果は、日本の地域観光振興策の改善や実施において、有益な示唆を与えることができる。