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日本の家計は本当に貯蓄しなくなったのか?

執筆者 小原 美紀、チャールズ・ユウジ・ホリオカ
発行年月 2024年 9月
No. 2024-20
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内容紹介

この章では、『消費生活に関するパネル調査』を用いて、2000年以降の日本の有配偶女性世帯の家計貯蓄率の実態と動向を整理する。貯蓄意欲を捉えるために、月間の世帯収入に対する月間の貯蓄の比率に着目した分析の結果、日本の既婚世帯の月間家計貯蓄率は一貫して低下しているのではなく、2000年以降で見れば家計貯蓄率は下げ止まっていることがわかる。また、同一個人のライフサイクルでの貯蓄率を見ると、40歳代後半にかけて家計貯蓄率は下がっていき、それ以降は少なくとも50代にかけて増加に転じる。さらに、1960年代生まれの世代と比べて、それより遅く生まれた世代で貯蓄率は低い傾向にある。そして、これらの家計貯蓄率は、所得階層が低い家計、妻の教育年数が短い家計、子供のいる家計、家計管理をしていない家計で低いことがわかるが、これら家計の特徴の差だけでは家計貯蓄率を説明することはできず、経済状況や社会環境も大きな影響を与える。たとえば、所得が増えた時にどれぐらい貯蓄率を増やすかという「貯蓄性向」は、税制の変化の影響を受ける。