執筆者 | チャールズ・ユウジ・ホリオカ |
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No. | 2024-19 |
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本書は500ページにもおよぶ日本人の消費行動に関する大変な力作である。著者が本書の冒頭で書いている通り、本書の目的は、 「現代日本において消費がどのように決定されているのか、その決定構造にはどのような含意があるのかを明らかにすること」 である。
消費は国内総生産(GDP)の一つの構成要因に過ぎないが、どの国においてもGDPの最も大きな構成要因であり、半分以上のシェアを占め、 しかも国民の経済的豊かさの最も重要な尺度である。したがって、本書が扱うテーマは極めて重要なものである。
しかも、著者は消費研究の大家であり、過去 15 年間の間に消費行動に関する数々の先駆的な論文を David Cashin、Joshua K. Hausman、Melvin Stephens, Jr.、Johannes F. Weiland などの著名な経済学者と共著で執筆し、American Economic Journal: Applied Economics、Economics Letters、Japanese Economic Review、Journal of the Japanese and International Economies、National Tax Journal、Review of Economics and Statistics、『経済研究』、『経済分析』をはじめ、内外の定評のある経済雑誌などに掲載している。これらの論文の多くは本書に収録されている。著者の一連の消費研究が一冊の書籍の形でまとめられており、英語論文の場合は和訳されていることは、読者にとって大変喜ばしいことである。言うまでもなく、本書は決して著者の過去の論文の寄せ集めではなく、収録されている論文は大幅に加筆・修正・統合されており、書物として一貫性のある内容になるよう再構築されている。