刊行物
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執筆者 | チャールズ・ユウジ・ホリオカ |
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発行年月 | 2024年 5月 |
No. | 2024-12 |
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数十年前以来、金融市場が急速にグローバル化・自由化されつつあるが、にもか かわらず、各国間で国内貯蓄と国内投資との間に高い相関があるといった Feldstein and Horioka (1980)の分析結果はパズルまたはパラドックスとして みなされてきた。しかし、本稿は、金融市場において摩擦がなく、各個人が自由 に資本を海外に移転することができたとしても、財市場において、輸送費、関税、 非関税障壁、基準・認証制度などのような摩擦があれば、国全体が自由に資本を 海外に移転することができるとは限らず、 各国間で国内貯蓄と国内投資との間 に高い相関があるといった 「フェルドスタイン・ホリオカ・ファインディング」 が見られる可能性があるということを示す。事実、国全体が自由に資本を海外に 移転できることを妨げている要因として、(特に短期において)金融市場におけ る摩擦よりも、財市場における摩擦のほうが重要であるという証拠がある。