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執筆者 | 新見 陽子 |
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発行年月 | 2017年 5月 |
No. | 2017-11 |
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本稿は,2000年に導入された介護保険制度の利用状況を踏まえたうえで,家族による高齢者介護の現状を把握し,高齢者介護が家族介護者にどのような影響をおよぼしうるのかを,関連のデータや先行研究の結果などを参考に検証する。日本では,従来高齢者介護は主に家族によって担われてきたが,核家族化やチャイルドレス高齢者世帯の増加,家族介護者の高齢化など,家族をめぐる状況にも変化が現れてきたことを反映し,それまで家庭内で担ってきた介護の負担を社会全体で支える仕組みとして介護保険制度が創設された。それ以後,介護サービスの利用は年々増加傾向にあり,介護保険制度の導入には一定の効果がみられるといえよう。しかし,現在でも,多くの要介護者の主な介護者は家族であり,家族が抱える介護の負担は決して軽いものではない。実際,高齢者介護が,介護を担う家族介護者の就業行動や健康状態,主観的幸福度など,様々な側面で負の影響をおよぼしていることが確認された。今後,団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年を機に,介護ニーズが更に拡大することが予想されている。そのためにも,介護保険制度や介護休業制度などの課題を正確にとらえ,対処する必要があるといえよう。