刊行物
PUBLICATIONS
執筆者 | 岸本 千佳司 |
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発行年月 | 2017年 3 月 |
No. | 2017-08 |
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本研究は、サービスロボット・ベンチャー企業のテムザック社の事例分析である。限られたリソースしか持たない同社が、業界そのものの立ち上げをリードする先駆者としての役割を果たしていることに注目する。そのカギとなるのは大学研究者等とのオープンイノベーション・ネットワークである。同社をその中核たらしめているコアコンピタンスは、インテグレーション(総合化)と実用化(製品化)の能力である。これを支える経営上の特徴として、基本的に“本社/社長~関係会社・子会社/「方面軍司令官」~一般社員”の3層からなるシンプルな企業組織を土台に、限られた自社資源を豊富な「外部兵力」(提携する大学研究者・学生等)の活用で補う共同研究開発、および複数の専門領域を理解し調整できる「プロデューサー的」人材の成長を促す仕組みがある。加えて、自社の必要に迫られて「産業の関連インフラ」構築(部品サプライヤー開拓、量産拠点の構築、販売ルート開拓、サポートサービスや保険の整備、実証実験の場の開拓など)に取組むことが、先駆者としての存在感をさらに高めることに繋がっていることを示す。