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台湾IC設計業における競争戦略と主要企業の盛衰

執筆者 岸本 千佳司
発行年月 2016年 5月
No. 2016-10
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内容紹介

本研究は、台湾のIC(半導体集積回路)産業の中でも特に設計業(ファブレス)に焦点をあて、その発展動向と基本的な競争戦略、および主要企業の盛衰とそれを左右する要因について分析する。先ず、台湾ICファブレスの競争戦略の様々な構成要素、即ち、垂直分業・専業化と二番手戦略、およびそこから派生する(あるいは、それとセットになっている)台湾企業の強み・特徴(標準品志向、製品開発プロセスにおける顧客との密接な協調、トータル・ソリューション、選択と集中など)について踏み込んだ分析を行う。こうした競争戦略の各構成要素がどのように関わりどのような競争優位に繋がっているかを出来るだけ体系的に分かり易く示すために、楠木(2010)『ストーリーとしての競争戦略』が提唱する競争戦略ストーリーを描き出す手法を採用する。また、台湾の特徴を浮き上がらせるために、近年凋落していると言われる日本半導体企業の戦略(不全)ストーリーを提示し対比させる。分析の結果、台湾ファブレスの戦略ストーリーは、相対的に楠木の言う「筋の良いストーリー」のイメージに近く、他方、日本半導体企業のそれは、むしろ戦略不全に陥るストーリー展開の可能性が多く見られることを示す。