刊行物
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執筆者 | チャールズ・ユウジ・ホリオカ |
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発行年月 | 2014年 11月 |
No. | 2014-14 |
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経済学者は通常,人間は利己的であると仮定するが,人間は実際に利己的なのだろうか,それとも利他的なのだろうか。また,利己的な人の割合と利他的な人の割合は国によって異なるのだろうか。本稿の目的は中国,インド,日本,アメリカで実施されたアンケート調査からの遺産行動(遺産動機・遺産の分配方法)に関するデータを紹介し,そうすることによって,これらの国においてどの家計行動に関する理論モデルが成り立っているかを明らかにすることである。本稿の分析結果によると,遺産行動は国によって大きく異なり,アメリカ人とインド人の遺産行動は日本人と中国人のそれよりもはるかに利他的であり,逆に日本人と中国人の遺産行動はアメリカ人とインド人のそれよりもはるかに利己的であるようである。また,この国同士の違いは,ある程度,国同士の社会保障制度,社会的規範などのような外的要因の違いによるものであり,ある程度,国同士の家計の選好の違いによるものであり,後者は国同士の宗教心の強さの違いによる可能性が高い。