刊行物
PUBLICATIONS
執筆者 | 岸本 千佳司 |
---|---|
発行年月 | 2013年 3月 |
No. | 2013-10 |
ダウンロード | 1218KB |
:経済・環境・生活の調和を伴う持続可能な社会づくりに向けた取組みが世界的潮流となる中、工業開発区のエコ化、即ち、Eco-IndustrialPark(EIP)の建設が先進国、発展途上国を問わず世界各地で進められている。東アジアの日本・韓国・中国でもエコタウン、生態工業園区等の名称でEIP建設プロジェクトが存在しているが、本研究では、台湾の科学園区(sciencepark)のエコ化の取組みに注目する。従来、多くの科学園区に関する研究では、ハイテク産業クラスターとしての役割が主要な関心事であったが、ここでは、科学園区は新産業振興基地として重要なだけでなく、省エネ・リサイクル等の環境保全活動および生態系保護やアメニティ向上の分野でも先端的取組みを行い、台湾における持続可能な社会づくりの1つのモデルケースとも看做される点を強調する。本研究では、既存研究よりEIP建設成功にとって重要な条件を抽出し、台湾の科学園区で、それが相当程度実現されていることを示す。また園区の活動と周辺地域あるいは台湾全土のエコ化計画との連携にも注目する。さらに、科学園区内に位置するリーディング企業の積極的でオープンな環境保全活動が、園区のEIP建設を活性化するのみならず、園区が台湾全土への環境経営普及の発信源となることにも寄与していることを示す。