刊行物
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執筆者 | 坂本 博 |
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発行年月 | 2009年 8月 |
No. | 2009-21 |
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本研究は2005年の日本の産業連関表を用いて簡単なCGEモデルを構築し,各産業部門の生産性が確率的に変動する仮定のもとで,モンテカルロ実験を行い,シミュレーション結果がどのように変化するのかを分析したものである。まず,生産性が確率的に変動した場合,一部産業の生産量および財価格の平均値に有意な変化が見られたが,頑強性を大きく損なうものではなかった。税制を中心とした各種シミュレーションの結果,一部産業で分布の有意な変化が見られた。シミュレーションにより名目GDPは大きく変化したものの,財価格を固定した実質GDPはわずかな変化にとどまっている。また,民間部門と政府部門との経済効果の差は歴然であったが,実質GDP同様,トータルの経済効果の分布はかなり似通っており,全体的な政策効果の違いはあまり見られない。よって,生産性が不確実である場合,政策効果が不確実性に吸収される可能性がある。