刊行物
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執筆者 | 坂本 博 |
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発行年月 | 2009年 1月 |
No. | 2009-03 |
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本研究は,平均対数偏差(第2のタイル尺度)を用いて中国の職工クラスの賃金格差を地域間格差と業種間格差の2方向から分析したものである。計測期間を通じて急激に格差が拡大してきたことがうかがえるが,格差の要因として最近までは地域間格差が主要であったが,それが業種間格差に移りつつある。業種内の地域間格差では,農業や工業の格差が縮小しつつあるのに対し,金融といったより高付加価値な業種については地域間格差が拡大していることがわかった。一方,地域内の業種間格差においては,地域ごとで傾向が異なっていることがわかった。地域間でも業種間でも賃金格差が拡大していることは,職工といった限ったところでの賃金格差も複雑な要因を持っていることが考えられる。よって,さまざまな格差の縮小を目指す政府としては,今後難しい対応を求められるだろう。