刊行物
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執筆者 | 長谷川 純一, Eric D. Ramstetter, 戴 二彪 |
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発行年月 | 2008年 3月 |
No. | 2008-10 |
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日本の中国に対する経済協力は、1980年に開始され、2007年度を以って、経済協力の大半を占める円借款の供与が終了した。本論文では、28年間に及ぶ円借款が、それぞれの時期の日本政府および中国政府の政策と、どのような関わりをもって供与されたかを検証するものである。28年間の間に、中国の経済水準は大きく変化し、経済政策の内容も大きく変化している。また、日本側も、自国の政治と援助を取り巻く国際世論の状況に応じて、政策を変化させている。そこで、両国の政策変化が、円借款の供与にどのような影響をもたらしたのかを、検討した。
円借款プロジェクトのセクター配分、地理的配分および量的変化を検討した結果、円借款の供与には、両国政府の政策的影響が強く表れていることがわかった。中国の経済成長ともなって変化している開発政策が、円借款のセクター配分・地理的配分に強く影響していることが確認された。日本政府の政策は、多くの時期において中国の開発政策を容認するものであったが、いくつかの点において、その独自の考えが、中国の意向とは異なって、反映されている時期があることがわかった。