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伝統組織と技術革新 中国自動車工業の周辺構造

執筆者 金 祥栄, 竹内 常善
発行年月 2006年 12月
No. 2006-32
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内容紹介

中国には金属加工業や機械部品生産を指して「五金産業」と呼ぶ。近代以前からの金,銀,銅,錫,鉄などの加工を意味したことから発した概念であるが,同時に「渡り職人」を含めた伝統的な職人集団の秩序が永く維持されてきた。浙江省永康はそうした地域の一つである。中国では技能や熟練は,商圏や営業特権ほど大きな意味を持たない。つまり,職人たちは政治的な権力機関や特権的流通業者の前では脆弱な存在でしかなかった。ただ,社会主義は流通業者の伝統的なネットワークと権益の体制を一掃した。その後に自由な営業機会を獲得した中小生産者たちが,現代の自動車産業の展開の周辺で,どのように成長しようとしているのかについて,永康の五金産業に関する浙江大学の最近の調査をもとに整理した報告である。