刊行物
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執筆者 | 新谷 正彦 |
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発行年月 | 2006年 3月 |
No. | 2006-03 |
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1999年と2002年とのスサナスのジャワ島部分におけるコア部分の家計サンプルとモジュール部分の家計サンプルとを照合した全家計サンプルと,それから貧困ライン以下の家計を抽出した貧困家計サンプルとから,世帯主の最終学歴と世帯主の年齢とをキー変数としてコーホートを作成し,1999年より2002年への同一最終学歴における年齢変化をパネルと見なす擬似パネルを用いて,ジャワ島内における全家計および貧困家計において,消費保険仮説が受容されるかどうかの検証を試みた。貧困家計の場合,消費保険仮説は,都市部において受容されたが,農村部において否定された。全家計の場合,貧困家計の場合と対照的に,消費保険仮説は,農村部において受容されたが,都市部において否定された。これらの検証結果は,公的社会保障システムが未整備な農村部において,社会的弱者グループにその他グループから移転がおこなわれる私的社会保障システムが機能しており,都市部において公的社会保障システムが農村部に比べてより機能している点を示す事例研究から支持される点が明らかにされた。