刊行物
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執筆者 | 坂本 博 |
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発行年月 | 2005年 8月 |
No. | 2005-09 |
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本稿は,中国における地域格差問題の中で,省間所得格差に注目し,長期のデータを用いて,その動向を再検討したものである。ここでは,分析の高度さよりも分かりやすさを念頭において検討しており,変動係数や対数標準偏差,タイル尺度による格差の地帯分解および収束仮説について分析した。中国の省間所得格差は,1990年代後半以降拡大傾向にあったが,21世紀に入り,その状況は幾分緩和されてきたことが明らかになった。その要因として,西部大開発戦略が実行された点と,農村部からの出稼ぎ動向に変化が見られたことを指摘する。しかしながら,この状況が続くのか,また格差が拡大するのかはこの時点でははっきりせず,今後の動向に注目する必要がある。