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日本の輸入構造―輸入依存度・製品輸入比率の国際比較―

執筆者 菅原 淳
発行年月 1997年 11月
No. 1997-02
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内容紹介

日本の貿易黒字は市場の閉鎖性が原因であるとする主張があるが、経済学者の 間では貿易収支は貯蓄投資バランスによって決まるものであり、市場の閉鎖性と は無関係であるとする認識が一般的合意として得られている。しかし、これはあ くまでも輸出と輸入の差額についてであり、輸出入の水準について何ら言及する ものではない。他の先進国と比較した場合、日本の輸入水準はその経済規模と比 較して極端に低く、しかも他国の上昇傾向とは裏腹に時系列でほとんど変化して いない。これは、日本の輸入構造に他先進国とは異なる特徴を有している可能性 を示唆している。本稿は、日本市場の閉鎖性の批判材料としてしばしばとりあげ られる輸入依存度と製品輸入比率の時系列での変化を国際比較し、日本の輸入構 造の特殊性を探ることを目的としている。一連の考察の中で、近隣に先進国を持 たないという日本の立地条件が大きな特徴として浮かび上がる。研究としては初 期段階であるが、忌憚のないコメントや批判をお願いしたい。