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アジア(特に台湾)のスタートアップ・アクセラレータの研究

執筆者 岸本 千佳司
所 属 アジア成長研究所
発行年月 2023年3月
No. 2022-06
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内容紹介

本報告書は,公益財団法人アジア成長研究所(AGI)の研究プロジェクト「アジア(特に台湾) のスタートアップ・アクセラレータの研究(A Study of Startup Accelerator in Asia〔mainly Taiwan〕)」 (2022 年度実施)の成果である。

近年,国内外で,起業奨励とスタートアップ育成の土台として「スタートアップ・エコシステ ム」の構築が重視されている。エコシステムの構成要素には,起業家・スタートアップおよびそ れを取り巻く起業カルチャーやコミュニティーに加え,起業家・スタートアップを育成・支援す る各種アクターが含まれる。政府機関,大学・研究機関,既存企業(特に大企業),ベンチャー キャピタル(VC)のような投資家・資金提供者,そしてインキュベータやアクセラレータのよう な育成機関である。

このうち近年起業家・スタートアップ育成の新たな手法として「アクセラレータ(Accelerator)」 が注目を浴びている。アクセラレータとは,一般に広範なメンター・投資家・専門家・協力企業 のネットワークを背景に,定期的に選抜された複数の起業家チームに対して数ヵ月程度の短期集 中型育成プログラムを実施する。これを通してより市場ニーズに合った完成度の高いビジネスモ デルへと迅速に磨き上げ成長を加速する仕組みである。

本研究は,特にこのアクセラレータの活動・役割に注目する。アクセラレータを重視する理由 として,アクセラレータがスタートアップ・エコシステムのハブ的な位置付けになってきている ことがある。すなわち,先ず,アクセラレータの多くは,起業家同士あるいは起業家と支援アク ターとのネットワーク形成をプログラムの一環としてデザインしている。また,大企業が自前の アクセラレータを設立する,もしくは既存のアクセラレータのスポンサーとなることでスタート アップとの連携を図るという動向がある。投資家(VC,エンジェル)も,アクセラレータと提携 することで有望な投資案件探しが容易となり,またリスクを低減できる。アクセラレータ自身が 投資ファンドの運営をしている場合もある。さらに,大学・研究機関も付属のアクセラレータや インキュベータを運営するといったこともある。

本研究は,筆者の専門であり,スタートアップ推進の取り組みが盛んである台湾に注目し,そ の事例を取り上げ,詳細な事例研究を行っている。