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我が国グリーンテクノロジーの開発と国内外普及 における新潮流

執筆者 今井 健一
所 属 アジア成長研究所
発行年月 2017年3月
No. 2016-04
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内容紹介

環境汚染対策あるいは地球温暖化対策に向けて,グリーンテクノロジーの果たす役割は大きく,日本のグリーンテクノロジーに対する世界の国々からの関心は高い。一方,世界における日本のグリーンテクノロジーの研究開発レベルや国際普及レベルについての全体像は,グリーンテクノロジーについて一般的に共有されている明確な定義がない,あるいはデータが限られていることもあり,見えにくい。結果として,その特徴や課題が見えにくい状況にある。本研究の目的は,日本のグリーンテクノロジーの研究開発と国内外普及における現状分析を通して,その特徴と課題の一端を明らかにするとともに,将来の方向性について考察し,提言を行うことである。

本研究では,第1に,日本のグリーンイノベーションの研究開発力とグリーンテクノロジーの国際競争力について,特許データを用いて他主要国・地域との比較を行った。特許データを用いた分析は,我が国グリーンテクノロジーの研究開発と国際競争力におけるいくつかの課題を浮かび上がらせている。第2に,日本のグリーンテクノロジーの研究開発と国内外普及の促進において,重要な役割を果している日本の自治体,特に,グリーンテクノロジーの集積に積極的な川崎市と,スマートシティの促進に積極的な豊田市の取り組みを調査した。川崎市と豊田市の取り組み事例は,日本のグリーンテクノロジーの研究開発と国内外普及に向けた新たな潮流を見ることができる。そして第3に,九州の企業を対象として,日本のグリーンテクノロジー関連企業の海外事業展開に関するアンケート調査を実施した。アンケート調査結果からは,企業が海外事業展開にあたって抱えている多様な問題がわかるとともに,海外事業展開における課題の一端とその対策が浮かび上がった。

本報告書が,日本のグリーンテクノロジーの研究開発と国内外普及の促進を検討する上での新たな知見を提供できていれば幸いである。