刊行物
PUBLICATIONS
執筆者 | 田村 一軌 |
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所 属 | アジア成長研究所 |
発行年月 | 2015年3月 |
No. | 2014-11 |
ダウンロード | 2684KB |
人口が減少するなかで,どのように地域を持続可能にするかが喫緊の課題となっている。これからますます高齢化が進み交通弱者が増えれば,公共交通の果たす役割は大きく,既存の公共交通を維持することが地域の持続可能性を高めることにつながる。
このような観点から,本研究では北九州市内のバス利用実態を把握するために,北九州在住もしくは在勤で日常的にバスを利用している人を対象としたwebアンケート調査を実施した。その結果,以下のようなことがわかった。
①回答者全体の8割以上が,なんらかの交通系ICカードを持っており,かつ回答者全体のおよそ4分の3がなんらかの交通系ICカードを日常的に利用している。
②過去1年間に時刻表検索サービスを使わなかったと回答したのは,全体のおよそ1割であり,9割程度の人は,なんらかの時刻検索サービスを利用している。
③「運賃」「運行頻度」「定時性」「速達性」「接続性」の5項目について,旅客は重要視しているにもかかわらず満足度が低く,優先度の高い課題であるといえる。
上記③の優先度の高い5項目のうち「運賃」「運行頻度」「定時性」については,多額のコストがかかる,もしくは道路混雑などの外部要因の影響が強い,などの理由から,その改善は容易ではない。しかし「接続性」「速達性」は,運行ダイヤや運行ルートの工夫である程度改善可能であり,また利用者へ「乗り継ぎ」に関する情報を適切に提供することで,速達性や接続性に関する旅客の不満を大きく低減させることも可能である。そのような意味において,バス情報をどのようにして利用者に届けるかという工夫が期待される。