刊行物
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執筆者 | 彭 雪 |
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所 属 | 2014年3月 |
発行年月 | 国際東アジア研究センター |
No. | 2013-04 |
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経済のグローバル化が進む中,専門人材の国際移動が非常に頻繁になっている。改革開放以来,中国は1990年代に深刻な「頭脳流出」を経験したが,2000年代に入ってから,中国の専門人材の国際移動は徐々に「頭脳循環」の時代を迎えてきた。中国の好調な経済発展と政府の積極的な海外人材誘致・帰国人材(「海帰」と呼ぶ)優遇等の政策により,帰国人材が急増しつつある。「海帰」が先進国で身に着けた最新情報・専門知識・先端技術・ビジネスノウハウ及び国際的なネットワーク等は中国の発展に大きく貢献している。近年,「海帰」による経済発展への推進力が中国で常にホットトピックになっている。2002年以降の「海帰」規模の急増に伴い,「海帰」により創業された企業の中国経済における役割も変わってきた。「海帰」創業者の役割が重視され,各地の誘致対象となっている。公益財団法人国際東アジア研究センター(ICSEAD)の国際人口移動研究チームは数年に渡って,中国「海帰」人材を研究対象の一つとして,関連資料やデータの分析を重ねてきた。そこで,留学先によって「海帰」の創業率に大きな差異があること,特に日本留学組の創業活動が不活発であることが筆者の関心を引き寄せた。この問題は留学先の教育方針や中国の留学生送り出し政策や「海帰」創業者の誘致措置等に豊かな示唆を与えられるテーマであるもののまだ重視されておらず,関連の研究がまだ進められていない。留学先別で中国「海帰」の創業率の比較研究を行うのは本研究が初めてである。