戦後の日本における人口移動の大きな要因の一つは、地方と大都市圏の所得格差である。一方、それぞれの地域の所得に大きな影響を与えた要因は、国の財政支出の地域間配分である。高度成長期には、地方への配分は大きく増えたし、小泉内閣のときには相対的に地方への投資は減じられた。これらの公共投資が、直接的な要因になった。
その一方で、公共投資の蓄積は社会投資の地域間格差も生み出した。本研究は、地方と大都市圏の所得格差に及んだ国の財政支出の影響を分析するものである。
都市のモビリティとアクセシビリティは、現代の都市において、市民や来訪者の生活や経済活動を通して極めて重要な役割を果たしている。これらは、都市の持続可能性や経済発展、市民のQOLの向上などに直接的に影響を与える。都市のモビリティとアクセシビリティの研究は、都市計画・都市政策において重要な基盤を提供するものであり、これまでにも多くの研究蓄積がある。
一方で近年は、移動や交通に関する価値観やライフスタイルが大きく変化し、コロナ禍を経た交通需要の激変、健康志向からのウォーキング需要の増加など、移動・交通を取り巻く環境は大きく変化した。また、情報通信技術の発達により、人流データが普及し、利用しやすい形で整備・提供されるようになった。本研究では、人口減少と高齢化が進む北九州市を対象として、都市のモビリティとアクセシビリティを評価する方法について再検討する。