第17回成長戦略フォーラム
12月8日(火)18:00~19:00
於:リーガロイヤルホテル小倉 4階 ダイヤモンド
講師:東京財団 理事長 秋山 昌廣 氏
テーマ「東アジアの安全保障情勢と日本の対応」
今回の成長戦略フォーラムは、東京財団理事長の秋山昌廣氏を講師にお迎えし、国防・軍事の面から見た日本を取り巻く安全保障情勢とアメリカ及び日本の対応についてお話いただきました。
地政学的に日本をとりまく朝鮮半島・中国・ロシアの脅威
今回の成長戦略フォーラムは、東京財団理事長の秋山昌廣氏を講師にお迎えし、国防・軍事の面から見た日本を取り巻く安全保障情勢とアメリカ及び日本の対応についてお話いただきました。
まず、朝鮮半島については:北朝鮮は先軍政治を標榜し、大量破壊兵器や弾道ミサイルの開発を進め、瀬戸際外交を行っている。長期離弾道ミサイルの射程範囲はアメリカを懸念させるほど徐々に拡大しており、同時に、核兵器の小型化についても進められている。このように、情勢が非常に見極めにくい国からの脅威をどうやって抑止・回避するのかということは、日本にとっても課題である。
次に、中国については:現在、世界第2位の国防費を計上しており、その数字は過去20年間ほぼ一貫して2けたの伸び率で増加している。それに対して日本の国防費は、過去20年間ほとんど増加していない。
隣国との関係では、まず、日本の領空および防空識別区を脅かすことが増えている。4~5年前から日本のスクランブル発進回数は急上昇していて、現在、中国とロシアに対する緊急発進回数は、冷戦下でのソ連に対する回数を凌ぐほどである。また、海軍は安全保障上の観点から東シナ海及び南シナ海を完全に支配することを目的としていることがうかがえる。中台関係については、近年、近代的戦闘機の保有数などで中国が台湾を大幅に上回り、バランスが崩れている。また、台湾が新政権となった際に関係が緊張する可能性はある。
最後に、ロシアについては:最近国防費が増大し、東部軍管区や東部統合戦略コマンドを新設するなど、東に対する国防を強化している。ウクライナ問題も抱えているが、基本的には東部と北極海に関する安全保障に非常に力を入れていると言える。
アメリカの対応
米軍は、2020年までに総兵力の60%をハワイ等のアメリカ西海岸を含むアジア太平洋地域に配備する方針で、アジアへの回帰を進めている。また、インドネシア、フィリピン、シンガポール及びオーストラリアに対して装備品の供与や米軍のローテーションを展開している。なお、日本における米軍海兵隊の兵力数は約16,000人で、アジア・太平洋地域において群を抜いて多い。
日本の対応
日本の重要な安全保障対策としては、海上及び航空自衛力の強化と陸上自衛隊の防衛シフトの西方化、日米防衛協力ガイドラインの全面見直し、量的・質的にも広範囲な外交政策などが挙げられる。またPKO活動や国際協力平和活動は今後活発化するだろう。テロ対策についても、東京オリンピックに向けて本格的に動き始めていくことになる。安全保障の法的基盤の整備に関しては、現在、集団的自衛権が注目を集めているが、今後、実際に機能していくのは、武器防護や後方支援及びシームレス対応等である。
更新日:2016年1月22日
カテゴリ:セミナー