当研究所では、アジア研究に携わる研究者を招聘し、AGIセミナーを開催しております。
皆様のご参加をお待ちしております。
2019年10月15日(火)15:00~17:00
公益財団法人アジア成長研究所 6階 会議室
(北九州市小倉北区大手町11-4 北九州市大手町ビル「ムーブ」6階)
無料
発表:日本語・資料:英語
本間 正義 氏
西南学院大学経済学部 教授
演題:“Agricultural Market Intervention and Emerging States in Africa: Lessons from Asian Experiences”
概要:
農業は政府が介入することの多い産業であるが、先進国と途上国では介入に仕方が異なる。先進国では農業保護的な政策がとられやすく、一方、途上国では農業収奪的な政策がとられる傾向がある。この背景には、経済発展に伴う政治勢力の変化があり、途上国では、少数ながら政治力のある工業部門の低賃金要請を受けて、食料価格抑制のため、国際価格より低い国内価格政策がとられる。しかし、経済発展が進むにつれて、農業政策は収奪から保護に転じる。実際、高度経済成長期の日本、韓国、台湾では急速に農業保護の強化が図られた。
こうした現象は世界銀行が行った農業政策の国際比較研究でも確認されている。本報告では、農業政策が経済発展に伴い、なぜ農業収奪から農業保護に転換するのかを、2部門モデルで明らかにし、そのモデルに基づく計量分析をアフリカ諸国に適用する。農業政策の指標として農産物の内外価格差である名目保護率(NRP)を説明する政治経済変数は、アフリカでも統計的に有意な結果を示した。
急速に工業化された東アジア諸国と比較すると、アフリカの農業保護のレベルは低いままである。アフリカ全体はまだ経済発展途上にあり、農業保護を導入する段階にはない。しかし、統計分析の結果は、アフリカ諸国が急速に成長した場合、東アジアがそうであったように、より高いレベルの農業保護政策が導入される可能性があることを示唆している。
アフリカでは、所得格差の是正が政治的優先事項であっても、東アジアの経験を教訓に、市場介入の回避と農民のインセンティブの歪みの是正が必要と思われる。
◆詳細 [PDFファイル]
更新日:2019年9月25日
カテゴリ:セミナー