今回の成長戦略フォーラムは、北九州エアターミナル株式会社の片山憲一氏を講師にお迎えし、「空港を活かす地域戦略~北九州空港を事例にして~」をテーマにお話いただきました。
第13回成長戦略フォーラム
2015年6月23日(木)18:00~19:00
於:ホテルクラウンパレス小倉 2階 香梅
講師:片山 憲一
北九州エアターミナル株式会社 代表取締役社長
片山氏は、北九州空港がこれから大きく発展する必然性を明示し、空港の発展が北九州市にさまざまな形で雇用を増やすことを、以下のように指摘しました。
「鉄道時代に、北九州市は九州の入り口の交通の結節点として発展した。しかし、航空機時代に入り、福岡空港が九州の交通拠点となったため、北九州市は衰退してきた。事実、北九州市の人口は、1979年に106.8万人を達成したが、それ以後は衰退の一路をたどり、2005年には100万人を切った。北九州空港は2006年に開港したものの、交通の結節点として十分に活用されるには至らず、現在まで人口は減少し続けている。
しかし、北九州空港が福岡空港の補完空港として大発展する明白な兆しが現れてきた。
第一に、福岡空港は、滑走路が1本の空港としては旅客数が全国1位となり、混雑のため朝夕のピーク時に慢性的な遅延が発生するに至っている。
第二に、アジアの発展に伴い、アジア全体の航空需要が大幅に伸びている。福岡空港は、容量不足によってこの伸びに対処できない。
第三に、アジアの諸空港をはじめ世界中の空港における旅客の大幅な伸びは、主としてLCCによってもたらされている。夜間にも騒音の気兼ねなく飛べる北九州空港は、福岡空港と違って、LCCに向いている。北部九州の航空交通も他国と同じように発展するならば、北九州空港の補完的役割が福岡空港にとって不可欠になる。
第四に、東九州自動車道の開設とともに、東九州からの交通需要も大きく見込まれている。
また、北九州空港の発展が、この地域に雇用の増加をもたらす例として具体的に以下のことを示した。
パイロットや客室乗務員、空港管理者など空港自体の雇用のみでなく、空港内の売店や周囲のレンタカー会社などの空港周辺の産業も発展する。また、貨物関連企業や航空機製造業(MRJを含む)なども立地する。更には空港成長が、国のまち・ひと・しごと創生戦略などと相俟って、北九州市内に東京や大阪のオフィス移転や支店の復活を促し、都心の拠点機能再興のきっかけになる。
このように、北九州空港には福岡や九州の需要を分担することで必然的に発展する要因があり、この発展は大きな雇用を生む。今年7月から開設されることになった福岡市と北九州空港とを結ぶ高速バスの深夜早朝便は、北九州空港と福岡空港との一体的運用および役割分担を促進する第一歩となるだろう。」
更新日:2015年7月6日
カテゴリ:セミナー