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第11回成長戦略フォーラム(発表:AGI研究員)を開催致しました

1第11回成長戦略フォーラム
2015年4月14日(火)14:00~16:00
於:北九州市立男女共同参画センター・ムーブ5階
大セミナールーム

発表:アジア成長研究所 研究員
テーマ「少子高齢化時代の成長戦略を考える」

 

今回の成長戦略フォーラムでは、「少子高齢化時代の成長戦略を考える」をテーマに、アジア成長研究所の所長および研究員が研究発表を致しました。各発表は下記のとおりです。

所長 八田 達夫 『高齢者の誘致は、地方都市の成長戦略になるのか』
2~国保財源を国が引き受けるべき
現状の日本の社会保障制度の下では、高齢者が地方に移住すると、自治体にとって国民健康保険や介護保険の給付の地元負担分が増える。しかし、移住によって税収はほとんど増えないので、自治体は高齢者を受け入れたがらず、高齢者施設も建設したがらない。ここでは、国保財源を基本的に国が引き受けることとし、加入者の年齢ごとに全国平均給付額に等しい額を「モデル給付額」として国が自治体に支給することを提案する。こうすると、国民健康保険に関する自治体負担は平均的にはゼロになるため、高齢者を誘致するようになる。安定的な高齢者の流入は、高齢者施設等のサービスの提供のための若者の雇用も生むであろう。高齢者比率の大きな北九州市は、このような社会保障制度の制度改革の見直しを提案すべきである。

八田発表資料はこちら(PDF 896KB)

  チャールズ・ユウジ・ホリオカ 主席研究員 『少子高齢化と消費・貯蓄・就業』
3~少子高齢化は新たなビジネスチャンス
少子高齢化にともない、65歳以上の高齢者による医療、教養・娯楽、交際費関連の消費が増える一方、子供の好む財やサービスの需要が減るなどといった消費構造の変化がもたらされる。ただ、高齢者世帯の消費額は全世帯の消費額に比べ高いため、少子高齢化が進むにつれ、ネットでは消費額の増加が予想される。貯蓄の面では、所得を稼いで貯蓄をする若い年代の人口が減り、所得がなく貯蓄を取り崩していく高齢者が増えることで、家計貯蓄率は低下し、マイナスにすらなる可能性がある。就業の面では、働く人の割合が減少することにより労働力不足が生じる恐れがある。しかし、女性・外国人・高齢者の活用により、労働力不足を解消できる。したがって、生産者・地方自治体がこれらの変化にうまく対処すれば、経済への悪影響を避け、経済成長を維持することができるため、少子高齢化は恐れるべきものではなく、新たなビジネスチャンスでさえある。

ホリオカ発表資料はこちら(PDF 176KB)

今井 健一 主席研究員 『少子高齢化とエネルギー消費』
~コンパクトシティ化で省エネを4
少子高齢化の下、人口が減少する一方で世帯数(特に単独世帯、高齢世帯)が増加している。世帯員が共有する部分の多い家庭用エネルギー(電力、ガス、灯油)消費においては、世帯員数が増えると世帯員一人あたりのエネルギー消費が減っていく「規模の経済」が存在する。しかし、日本全体あるいは九州8都市で1世帯当たりの世帯員数が減っていることは、この規模の経済が失われつつあることを示唆し、また、少子高齢化が進めば、「規模の経済」がさらに失われていく可能性がある。家庭用エネルギーをより効率的に利用するには、エネルギーを共有して利用することが大切である。住宅のダウンサイジングを促進し、コンパクトシティ化によりエネルギーを共有利用することが必要である。

今井発表資料はこちら(PDF 221KB)

  田村 一軌 上級研究員 『小地域統計から見た北九州市の都市構造』
5~魅力ある効率の良い都市づくりのために
北九州市は人口が減少してきている。転入転出による人口移動は以前ほど多くなく、収束する傾向にある。少子高齢化や人口減少を食い止めることは難しいが、都市地域の密度を高めることで、効率の良い街づくりができないか。人口が分散あるいは一極集中するよりは、基軸となる都市の周辺に副都市が位置する形でコンパクトシティを形成することが理想である。実際に理想の形を実現するには、転居・転入する場所にインセンティブを与えることが必要。土地の起伏が少なく、鉄軌道の駅が近く、医療関係に恵まれていることが求められる。これらを基にコンパクトシティづくりを実現させることで、人口減少によるインフラの脆弱化や交通弱者・買い物弱者の増大、エネルギーの非効率化など、少子高齢化が引き起こす問題を緩和できるのではないだろうか。

田村発表資料はこちら(PDF 1718KB)

 

更新日:2015年5月29日
カテゴリ:セミナー