今回は北九州商工会議所会頭で、株式会社安川電機の社長・会長を歴任し、現在は同社の特別顧問を務める利島康司氏を迎え、『世界のトップ企業でありつづけたい、イノベーションと人材育成』と題し、安川電機を世界のトップ企業に育て上げた秘話と、その中で欠かせない人事育成の方法についてお話して頂きました。さらに、利島氏がどれだけ北九州市を愛し、どのように発展させていきたいかも語って頂きました。
株式会社安川電機は、製鉄業が盛んな北九州市で1915年に炭坑用のモーター製造からスタート。オートメーション技術や小型モーターの開発など、世界初の技術を生み出し、工場用ロボットのシェア世界一まで登りつめました。
利島氏が1994年に配属になったロボット事業部は、当時、毎年数十億の赤字を抱える部署でした。「犬の嗅覚で嗅ぎまわって、お客様のニーズを探し出せ!」「お客様の言うことは全てSAY YES」「開発部隊は寝るな!3日でものを作れ!」等、厳しくも的確な戦略を立てて、『世界一のロボットメーカーになる!』を合言葉に、様々なことに取り組みました。
成功の鍵は、『人材育成』でした。どんなに若手の営業員でも一人で取引先の社長のところに行かせました。そのわけは、「行くからには先方の会社の事、社長さんの好みを調べて行くことになり、そこで少しでも話が合えば大きな自信につながる」からです。獅子が我が子を千尋の谷に落とすようにも見えるこの利島氏の人材育成が成功した理由は、その後のフォローにありました。一方で、「責任は上司がとる」ことを明確にした上で、「失敗を恐れるな」と励ましました。他方で、公私にわたり社員の事を気遣いました。社長時代には、社員と直接対話する「対話集会をはじめました。会社としてやりたいことを伝え、社員からはやりたいことや思っていることを聞き出すなど、密にコミュニケーションをとることで信頼関係を深めていきました。「上司は会社では鬼にならなければならない。そのためには部下が何を考えて何をしたいのか、仕事以外のプライベートの事も知って、アドバイスをすべき。怖いと嫌われてもいい。きちんとアフターケアをすること。上司から進んで挨拶をすること。信頼関係があれば必ず人は付いてくるし、パワハラにもならない」と利島氏は語ります。
2010年、北九州商工会議所の会頭就任時には『北九州を日本一おもしろい街にする』と宣言し、産業観光を推進していきました。その結果「平成26年度全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞」受賞するなど徐々に評価されてきました。また、利島氏は「賑わいづくり懇話会」の座長を務め、街中で集まって話をする場を作ったり、地域のイベントに参加したり、生まれ育った北九州市への恩返しのために地域貢献をしています。
「これまではロボットを作る会社の“ロボット社長”と呼ばれたが、これからは、地域のイベントや会議など、組まれたスケジュール通りに動く、まさにロボットのような働きをする“ロボット会頭”として頑張りたいと思う。」と締めくくり、会場を沸かせました。
更新日:2015年3月1日
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