当センターは2014年から各界の著名人を講師に招き、国際社会の経済・産業情報や、広く北九州地域の発展に寄与する情報、経済成長を促すための各国の先進事例など内外の最新情報を一般市民の皆さまにお伝えする場として、「ICSEAD成長戦略フォーラム」を開いています。
その4回目として6月17日、モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社マネージングディレクター兼チーフエコノミストのロバート・アラン・フェルドマン(Robert Alan Feldman, Ph.D.)氏をお招きし、「日本経済:アベノミクスの静かな前進」と題してご講演いただきました。
(写真:流暢な日本語と該博な知見を基にユーモアを交えながら参加者に問いかけるフェルドマン氏。北九州市小倉北区のステーションホテル小倉にて)
蝶ネクタイのエコノミスト、テレビ東京系列の経済報道番組「ワールドビジネスサテライト」のコメンテーターとしておなじみのフェルドマン氏は、流暢な日本語と深い経済学の学識、幅広い経済知識を駆使しながら、集まった約130人の市民に対し、日本が今後迫られるであろう「増税か歳出削減か」「金銭解雇は一定の基準の下で認めるべきか」といった重要な選択肢について挙手による即席アンケートを実施。ユーモアを交えつつ会場の“民意”を引き出しながら、安倍晋三政権が取り組む脱デフレ政策である「アベノミクス」について、その「第一の矢」(機動的な金融政策)はうまく行っており、「第二の矢」(大胆な財政政策)は若干進み始めたとした評価したものの、「第三の矢」(民間投資を刺激する成長戦略)については、農業、企業統治、教育分野は進展しているが、移民、医療、雇用などの多くの分野で規制改革が進んでおらず、全体として非常に厳しいとの認識を示しました。
「今後の生活水準の見通しは」との質問に対しては「少子高齢化が進む中で、労働参加率の低下は不可避であり、生産性を飛躍的に向上させない限り、今の生活水準を維持できなくなる」と懸念を表明。1000兆円に上る財政赤字の削減方法については「技術開発によって生産性を格段に高め、経済成長を実現する一方、(赤字の主因である)年金の給付水準を切り下げるしかない」と答え、「問題は明確だ。やり方ではなく、やる気が問われている」と改革の早期実施を求めました。
更新日:2014年6月24日
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